旧大社駅に訪れた後は、再びクルマを走らせ、日御碕まで行こうと思います。日御碕は出雲大社前を通り、国道431号で稲佐の浜に突き当たり右折、さらに県道29号を延々と進んで行けば日御碕にたどり着けるはずです。
旧大社駅(出雲大社)から車を走らせて約25分・・・。日御碕神社の入り口までやってきました。
日御碕神社入り口の駐車場・バス停のすぐ目の前にはお店があり、イカやカレイの干物が天日干しにされています。まさに昔ながらの港町ならではの風景です。お店の前に干されている海産物は『干物』といい、いわば加工法、あるいはその調理過程ともいえます。文字通り天日や風などで水分を蒸発させて乾燥させます。海で採れた海産物を干物にすることで、魚介類の保存性を高め(いわば保存食)、魚介類特有の旨味も凝縮させる効果があるとされています。
日御碕といえば焼きイカや焼きさざえが美味しいです。
イカを焼くとまさに磯の香りも漂います。また、海産物のお土産なども買えるのでとても便利です。特に日本海に面しているため、海鮮丼や海の幸を使った定食などもまた格別に美味しいので、昼食やおやつなどの際に立ち寄ってみるのもいいでしょう。
ビクティニ:焼きイカ美味しい!昔懐かしい味だ・・・。
ミュウ:タレも香ばしくて美味しい!
日御碕周辺にはもちろん出雲大社や稲佐の浜はありますが、島根半島の北側には『鷲浦』という集落や『十六島(うっぷるい)』などの名所もあります。北側の方は天気が良ければ隠岐諸島も見れるのかもしれません。
出雲大社から路線バスが出ていますが、バスの運行本数としては1日約8~9本ほど少なめのようです。もし、バスで日御碕に訪れる際、夕日も観るのならバスの最終便は必ず確認した方がいいのかもしれません。最終便を逃すと後の祭りになってしまうので注意が必要です。
日御碕神社は『夜を守る神社』ともいわれています。
『日が昇る東の伊勢神宮』『日が沈む西の日御碕神社』というように伊勢神宮は日本の昼を守る神社、この神社は夜を守る神社で親しまれています。これは日沈の宮という名前は『伊勢神宮は日本の昼を守る』というのに対し、こちらの日御碕神社では『日本の夜を守る』という勅命を受けたことに由来しているのです。
この神社は下の宮『日沈宮(ひしずみのみや)』と上の宮『神の宮』という上下二社からなることから、両本社を総称し、『日御碕神社』という名前になったとされています。また国家守護の宮として『日』の字を、村上天皇より賜り、神の宮と併せ『日御碕大神宮』と称せられるようになったのも、現社地に御遷座された時からのことでした。そして明治維新後、社格制度により国幣小社に列せられたのも、『日御碕神社』と呼ばれるようになったのです。
日沈の宮はくぐった楼門(下の宮)のことで、アマテラスオオミカミ(天照大神)が祭られ、もう1つの小高い丘の上にある神の宮(上の宮)にはスサノオノミコト(須佐之男命)が祭られています。
昔、日沈の宮はアメノフキネノミコトが島にいた時にアマテラスオオミカミが降臨し「吾はこれ日ノ神なり。此処に鎮まりて点火の人民を恵まん。汝速やかに吾を祀れ」との勅命を受け、経島(ふみしま)という島に建てられていました。スサノオノミコトが熊成の峰に上り、「私の神魂はこの柏葉が止まったところに住まん」と柏葉を投げるという占いとともに風に舞い、その神社の背後の『穏ヶ丘』に止まりました。これによりアメノフキネノミコトの神魂が鎮まるところとして日御碕神社の神の宮に祀られたという伝説があります。
ビクティニ:コロナが消滅しますように・・・。
ミュウ:元の生活に戻れますように・・・。
さて、日御碕神社を参拝した後は、日御碕灯台にも行ってみましょう。
灯台越しから差す夕日の光に岩場の向かいに映える大海原がとても美しいです。
日御碕灯台は明治36(1903)年に建てられ、高さ43.65メートルと日本の灯台としては最大級(東洋一)の高さを誇っています。さらに海面からは63メートルも高低差があり、その高低差を利用して海の安全を守っています。この灯台には同県松江市美保関町から発掘された石材が使用されたレンガ造りになっています。また、外壁と内壁の間に空間を作った特殊な二重構造になっています。光度は48万カンデラ、夜間は約40kmの沖合まで届くようになっているという構造になっています。その歴史や文化的な価値から平成10(1998)年に『世界の歴史的灯台百選』、平成25(2013)年には『国の登録有形文化財』に選ばれています。また、時期によってはこの灯台がライトアップされることもあります。
ビクティニ:夕日がとてもきれいだね・・・。
ミュウ:前にも2人で観たよね。懐かしいな・・・。
灯台の北側には大小の島々や奇岩が入り江に浮かぶ『出雲松島』も日御碕の景観の1つです。こうした独特な景観が日御碕の自然が生み出した芸術ですね。さらに夕暮れの空とのコントラストには美しさと物哀しさを醸し出しています。
ビクティニ:きれいな海・・・。夕暮れの空・・・。こんなにきれいな海を見たのは何年ぶりかな・・・。心が洗われる・・・。
ミュウ:海に浮かぶ島もきれいだね・・・。
にょろもう:久しぶりの海だ~!
日御碕の海の景観は灯台だけでなく、岩場や断崖の上から見る大海原の景観は迫力があり、大変美しいものです。
日御碕は大山隠岐国立公園の中にあり、海岸の荒々しい岩場は柱状節理から発達した流紋岩や成相寺層の頁岩などの溶岩によってできています。これは約1600万年前の噴火によって形成されたものとされ、この付近に海底火山があったことが分かります。そして海蝕によって成形された断崖は、美しい景観を醸し出しているのもまさに日御碕の自然の芸術の1つですね。また、このあたりの海中は対馬海流の影響から暖かく、日本海側の造礁サンゴ生息地としては最北端になっています。
ビクティニ:どこまでも広がる海・・・。悔しいな~こんな時じゃなかったら今頃オリンピックも終わって平凡な日々を送っていただろうに・・・。
ミュウ:来年こそは必ずオリンピックが終わるはずだよ・・・。
にょろもう:昔みたいに平和になってほしいよね・・・。
これが出雲地方の美しい自然の贈り物の1つとされる日御碕の夕日です。
出雲地方の夕日といえば稲佐の浜から観る夕日でよく知られていますが、日御碕から観る夕日は海に浮かぶ島々や岩のコントラスト、そして断崖と海の高低差から一層美しさを掻き立てます。そして日御碕の夕日を綺麗に撮りたいのなら、展望デッキや『経島(ふみしま)』の見える『鳥見台』という展望台がおすすめです。この写真に写っている『経島』はさきほど参拝した日御碕神社の日沉宮(ひしずみのみや)がこの島に祀られていたという伝説があるとされています。その島も柱状節理の岩の形状がいかにもお経の巻物を積み重ねたように見えることから、『経島』という名前が付けられています。
ビクティニ:今年も終わるのか・・・。志村さんどうしているのかなあ・・・。こんな時じゃなかったら・・・(ノД`)シクシク
ミュウ:仕方がないよね・・・。きっと天国で楽しくしているはずだよ・・・。
経島の見える鳥見台からはウミネコなどの海鳥が見られます。
このあたりはウミネコの生息地で国の天然記念物に指定されています。11月上旬頃に北の海からやってくるウミネコは3月上旬頃から営巣をはじめ4月頃に産卵し、5月から6月にかけて子育てが行われ、多いときには数千羽にもなります。7月頃には北海道やオホーツク海などに移動します。なので秋から初夏にかけての時期ならウミネコを観ることができます。
みなさんも出雲地方に行く機会があれば海の夕日を観に『稲佐の浜』や『日御碕』などに訪れてみては?
『今年最後の日御碕の夕日を観る』をお伝えしました。