ビクティニと昔ロマンのブログ

好きなポケモンと旅行に出掛けたり、鉄道名所(景観路線や歴史ある鉄道スポットなど)スポットめぐりや風光明媚な鉄道旅、日本の観光地の歴史や景観めぐりなどを紹介するコーナーです。よろしゅうお願いします。

秋の会津&佐渡紀行2021 佐渡島のたらい舟&北前船の寄港地“宿根木”

みなさん、こんにちは。

今回は、佐渡島の小木エリアを回ります。

国道350号線を小木方面へ下り、クルマを走らせます。両津エリアから車で行くと約1時間ほどかかります。離島とはいえども沖縄を除く日本の離島で一番大きい島です。なので離島だからといって移動時間を見くびってはいけません。島内をクルマで移動する時は、時間に余裕を持って行くことをおすすめします。ちなみに佐渡島の面積は854.5k㎡、外周約260k㎡あり、それだけ結構広い島であることが伺えます。また、クルマで移動する時は狭い道路駐の車にも注意が必要です。

 

f:id:okuchichibu551:20211205160717j:plain

佐渡 たらい舟

2021/12/18/秋の会津&

佐渡といえばトキが暮らす島で有名ですが、『たらい舟』も名物の一つです。

女船頭さんが漕ぐたらい舟は、まさに佐渡の風物詩です。希望すると自分で漕ぐこともできます。たらい舟が考案されたのが明治初期とされ、もともと洗濯桶だったものから改良を重ねて現在のたらい舟になったと言われています。もっとも佐渡島南部にあたる小木海岸は岩礁や暗礁が多いこともあり、そこで漁をするのには、小船より小さいたらい舟の方が小回りが利く上に自由に操作できるように考案されたのがその『たらい舟』なのです。かつては『磯ねぎ』と呼ばれる漁が盛んで、サザエやアワビ、ワカメなどを獲るのに使われていました。小木海岸では、現在でもたらい舟を使った磯ねぎ漁が行われています。こうして明治から続いてきた伝統的な磯ねぎ漁が今でも引き継がれているのです。

 

f:id:okuchichibu551:20211205181845j:plain

f:id:okuchichibu551:20211205173817j:plain

たらい舟に乗ってみると・・・
たらい舟には樹齢約60年の杉と長さ10メートル以上の真竹が材料として使われています。大きさとしては縦180cm、横140cm,深さ55cmの楕円形になっています。
磯ねぎ漁をするときは、箱めがねやタモ、サザエをつくヤス、アワビを引っ掛けて岩から剥がすケイガキ、ワカメを刈るカマが使用し、海産物を獲ります。

観光でたらい舟に乗る時は、立ったままだと転覆してしまうので、乗ったら座ります。たらい舟に乗っている時は必ず座ったままで決して立たないようにしましょう。また、たらい舟から降りる時は、特に落ちる危険があるので注意が必要です。

たらい舟は、本来なら磯ねぎ漁のために使われるものですが、過去にはここから本州の柏崎港までの約60kmにおよぶ佐渡海峡の横断が約16~17時間にわたって漕いだことがありました。これは佐渡と柏崎を結ぶ『佐渡情話』にあやかったイベントだったそうです。

ビクティニ:これでここから本州まで行けたなんて、もうギネスものだよね。

ミュウ:昔はこれを使って漁をしていたんだね。

 

f:id:okuchichibu551:20211205182646j:plain

小木の岩礁で獲れたサザエとイカの浜焼き
小木海岸の岩礁で獲れたサザエやイカの浜焼きもいただけます。

その場で焼いてくれる海産物は焼きたてで美味しいです。他にもおけさ柿や様々な海産物などがお土産で売られており、地方発送もしてくれるので自宅で佐渡の海産物をいただきたい人には嬉しいでしょう。

ビクティニ:焼きたてのサザエが香ばしくてうまい!

ミュウ:焼きイカもいい匂い!

にょろもう:イカ美味しい!

ゴンベ:ほっぺたが落ちそうだっぺ~!

 

f:id:okuchichibu551:20211205184418j:plain

f:id:okuchichibu551:20211205205330j:plain

矢島と経島
小木海岸沿いの入り江には『経島』『矢島』の小さな島が二つ浮かんでいます。

このあたりの入り江は波が穏やかで、陸から島につながる朱い太鼓橋がいい感じに風景を醸し出しています。『矢島』はその島に生える竹が良質であり、源頼朝がヌエ退治する『平家物語』で使われた矢の材料として使われたことからその名前がついたといいます。また、『経島』は日蓮の放免状を携えた高弟の日朗が嵐にあい漂着したのがその島で、読経し一夜を明かしたことからその名前が付きました。また、このあたりの入り江は波が穏やかということもあり、時々たらい舟で磯ねぎ漁が行われることもあります。

※矢島と経島は小木港から車で5分と近いですが、途中の道がちょうど1車線分しか無いくらい狭く坂も急なので、訪問される場合は十分にご注意を。

 

f:id:okuchichibu551:20211205210239j:plain

北前船の寄港地 宿根木

小木エリアよりさらに先へ車を走らせると、『宿根木』という木造建築の民家が集まる集落が見えてきます。

ここは、かつて佐渡金山が栄えていた17世紀を経て北海道から大坂や瀬戸内を結ぶ北前船(別名:千石船)の寄港地にして北前船の交通や物流で栄えてきた伝統的建造物群保存地区なのです。

それもそのはずこの集落は廻船業の生きた町並みであり、北前船もここの船大工たちによって造られたといいます。北前船は荷物の運搬だけでなく、寄港地で安くかつ良い品物があれば買い、船の荷物に高く売れるものがあればそこで売るなど、さまざまな商材を取り扱う商売をするために日本海を航海する商船のことです。その船は『米を一千石(150トンの米)を積める大きさ』という意味から、日本海側では『千石船』とも呼ばれていました。北前船の中でも、一番大きなものだと2千4百石も積むことができ、巨大な帆一枚で逆風でも進むことができる優れた帆走性能をもっています。このように北前船が様々な物資の運搬を担ってきたことで、北海道のアイヌ文化から西日本の和の文化にかけて、食から衣類、工芸品などの様々な文化も運んできたのです。佐渡から各地へ運ばれた代表的な物資でいうと、米や酒、海産物などがあたると思われます。まさにそれぞれの異文化を結んだ『総合商社』的な存在だったといえるでしょう。

 

f:id:okuchichibu551:20211205215108j:plain

宿根木の町並み
宿根木の町並みは、車が通れないほど狭い路地がまるで迷路のように入り込み、百棟を超える板壁の民家が密集しています。

この町並みも千石船を造った船大工たちによって築かれ、それらの歴史的建造物が当時のまま、現在でもなお大切に保存されています。その建築物の中には建築100年のものもあれば200年以上のものまであり、まさに当時の全盛期を物語っていますね。

※保存地区とはいえ住民の方々が生活していますので、見学される場合は住民の方々の迷惑にならぬよう配慮しましょう。また、ゴミなども持ち帰りましょう。

 

f:id:okuchichibu551:20211205220930j:plain

北前船邸宅 宿根木 あなぐち亭
密集した集落の中に佇む古民家を活用したカフェもこれまた洒落ています。

こちらは『北前船船主邸宅』として江戸末期に建てられたもので、今年で築160年だそうです。ここは『穴口(あなぐち)』と呼ばれ、廻船主こと佐藤伊左衛門家の邸宅だったのです。今では『あなぐち亭』としてかつては船主邸宅の一部を改修し、カフェになっています。千石船で越前から運ばれた笏谷石(しゃくだにいし)の敷石や庭園に趣が感じられます。また、建物後方には食料などの保存に使うための『室(むろ)』も現存しています。

 

f:id:okuchichibu551:20211206211428j:plain

かつての北前船船主邸宅での喫茶は格別
当時は北前船船主の邸宅だったということもあり、素敵な庭園を眺めつつ食事やおやつタイムを楽しめるのがまた格別です。

ここは集落内で唯一、風光明媚な日本庭園を有した趣のあるお屋敷になっています。店内は建築当時からほぼ変わらぬ雰囲気で、タイムスリップというか、まるでどこぞの田舎の家に帰ってきたかのような感覚を想わせます。

ビクティニ:まるで時が止まったかのような空間でおやつを食べていると、ふるさとを思い出すほど懐かしい気分・・・。お庭を見ていると山陰を思い出す・・・。

ミュウ:パフェの果物も佐渡のものを使っているよ、美味しい(*´∀`*)

 

f:id:okuchichibu551:20211206225007j:plain

手作りの窓ガラス
このお屋敷は、何もかもが当時から変わらぬ姿で残っている貴重なものです。

例えば、この窓ガラスは現代のものとは違い、ガラス職人の手によって造られています。窓枠をよく見れば解るように、若干波打っているのがお解りいただけるかと思います。そう、この窓ガラスはいわゆるガラス職人が造った『手作りのガラス』なのです。ご主人の話によると、幕末あるいは明治期に造られたもので、その時代のガラス職人が造ったものなんだそうです。こうして150年以上の時が流れても、当時の状態で綺麗に保っているのはかなり貴重ですね。

 

f:id:okuchichibu551:20211206230331j:plain

f:id:okuchichibu551:20211206230439j:plain

北前船邸宅 二階の様子
おやつをいただいた後、二階にもお邪魔しました。

二階の居間には掛け軸や調度品などが綺麗に並べられています。それらも全部当時物だそう。そして、このお部屋の梁や障子なども、みな当時とは変わらぬ状態で残っています。ここにいると、まるで田舎のおばあちゃんの家に帰ってきたかのように心が安らぎます。

 

f:id:okuchichibu551:20211206232238j:plain

二階の欄干
欄干の模様も美術的な装飾が施されています。

欄干に刻まれた装飾の絵は松や竹など、いかにも風流な感じに彫られています。他にも佐渡らしくトキも彫られているのでしょうか。この彫刻を見ていると、以前に萩市で泊まったとある旅館を思い出します・・・。

 

f:id:okuchichibu551:20211206232018j:plain

宿根木の屋根
小木や宿根木の民家の屋根には、『石置木羽葺屋根(いしおきこばぶやね)』といわれる、まさに昔ながらの石屋根が用いられています。

というのも、佐渡は日本海に囲まれている環境にあるため、海上からの強風が吹き荒れることがあります。また、冬季には積雪地帯になるため、雪の重みで民家が潰れてしまうことも考えられます。そこで、その強風や台風、雪などによる災害から屋根を守るため、杉の木でできた板張りの屋根の上に石を並べているのです。かつての日本ではこういう石置き屋根の民家は見られたのかもしれませんが、今ではこのような石置き屋根の民家はほとんど目にすることはないので、かなり貴重な光景です。まさに当時の面影を感じさせてくれますね。

 

f:id:okuchichibu551:20211208000022j:plain

f:id:okuchichibu551:20211207213746j:plain

f:id:okuchichibu551:20211207235840j:plain

宿根木の集落を散策
宿根木の集落を散策してみましょう。

信じられないくらいに狭い路地に細い水路など、当時の生活が感じ取れます。民家の壁も木の板で張られて、建物の形や大きさもまちまちです。これまた不思議な雰囲気ですね。というのも、宿根木の民家はほとんど船大工の手によって造られたもので、材料も杉の木がふんだんに使われています。

それらの民家に使われている木材はほとんど縦に張られているものが多く、分厚く張られている壁に風格が感じ取れます。このような木の板で張られた壁を『腰板』といい、それらの建物には、千石船を造る時に余った部品や廃船になった部品が流用されているのです。本来、船に使われる板は、一番外側の板でも1寸2分(36mm)の厚さがありますが、これは害虫による被害を防ぐためのものであり、数年後には交換されます。その時、船で使われなくなった木材は家屋建築の材料として活用されていたということですね。このように造船の残材や派生材を活用して造られた民家の町並みは、まさに『千石船(北前船)の文化が生きた町並』という雰囲気を物語っています。

ビクティニ:なるほどね・・・。道理で木造建築の民家ばかりが立ち並んでいるわけだ。まるで昔ながらの港町って感じだね・・・。

ミュウ:こんなに狭い道を毎日のように行き交う住民たちは窮屈に感じないかな・・・?

 

f:id:okuchichibu551:20211209215504j:plain

民家軒下の装飾
小さな集落の中にある民家の軒下に装飾が施されているのは珍しいですね。

これはNHKの新日本紀行で紹介された船大工の民家で、このような扇子の形をした装飾が特徴とされていました。これが百年以上経っても原型をとどめているのは奇跡的です。なるほど、ここが重要伝統的建造物群保存地区担っている理由がよく分かります。

 

f:id:okuchichibu551:20211216215742j:plain

f:id:okuchichibu551:20211216215911j:plain

f:id:okuchichibu551:20211216221349j:plain

宿根木の海岸
宿根木の海岸沿いにも足を運んでみました。

海岸から観る日本海の夕暮れはきれいですね。ここから少し足を伸ばせば『沢崎鼻』という岬と灯台があります。

ここは大昔に千石船(北前船)が発着していた、いわゆる『船着き場』だった場所です。そのため、この場所には『船つなぎ石』という船を停泊するための石杭が残っています。それらは瀬戸内海から運ばれてきた御影石でできており、安永5(1776)年頃に立てられたものと思われます。宿根木の人々はそれらを『シロボウズ』ともいわれています。船つなぎ石が残っているということは、ここに千石船を停泊していた名残と思われます。現在は七本残っており、港町としての面影を残しています。ここで北前船での荷下ろしや荷積みを行っていたことを考えれば、当時は賑わっていたのでしょう・・・。

ビクティニ:昔はここに船が泊まっていたんだね・・・。

ミュウ:当時は結構賑わっていたのかな?

 

f:id:okuchichibu551:20211218115051j:plain

ホテルニュー桂に宿泊
佐渡での今宵の宿は『ホテルニュー桂』に宿泊しました。

このホテルは、加茂湖の近くにあり両津港から車で5分という立地にあるため、アクセスは比較的良いです。ジェットフォイルやカーフェリーで両津港に着くのが夕方や夜になっても送迎もあるので便利です。

 

f:id:okuchichibu551:20211217230915j:plain

佐渡のホテル 夕食は豪華
佐渡の夕食は様々な海産物をふんだんに使った豪華な献立です。

紅ズワイガニをはじめお刺身や天ぷら、もずく酢、陶板焼きなど、まさに佐渡ならではのごちそうで勢揃いです。特に佐渡島近海でとれた甘海老やサザエは日本海の寒い海で育っているので、身が引き締まっていて美味です。

ビクティニ:色々回っていたらお腹が空いちゃった、いただきます!・・・うまい!やはり佐渡の海の幸は現地で食べるとこれまた格別だ!

ミュウ:天ぷらも美味しい!

にょろもう:お刺身もうまいよ!

ゴンベ:いただきますだ!ガツガツ・・・カニうまいっぺ~!最高だっぺ~(*´∀`*)

 

佐渡島のたらい舟&北前船の寄港地“宿根木”』をお伝えしました。