みなさん、こんにちは。
今回は秋の尾瀬へハイキングに行き、尾瀬沼を一周して来てきました。
ということで、朝5時半に家を出て出発しましょう!
まずは、川越駅からJR川越線で大宮駅まで行き、更に東武野田線(アーバンパークライン)に乗り換えて春日部駅まで移動します。そして、春日部からは8:04発の『リバティきぬ105号』に乗車します。
特急リバティは特急券が必要で、しかも全車指定席でJRの新幹線と違って自由席が無く、満席になると乗れない可能性があるので、事前に予約しておいたほうが良さそうです。今回は東武鉄道のHPからスマホ予約してあります。当日でも券売機や駅の窓口でも購入できますが、先述の通り満席になると乗車できない場合があるので注意が必要です。
さて、我々が乗車するリバティきぬ105号は3両編成で、特急にしては短いです。ちなみにこの日は平日なのにも関わらず、ほぼ満席に近い状態の乗車率です。やはり東武特急は人気があることが伺えますな・・・。
今回の行程では、鬼怒川温泉駅までリバティで移動し、更には野岩鉄道および会津鉄道に乗換えて会津田島駅まで進みます。そして、会津田島駅からレンタカーを借りて尾瀬へ目指します。今回は東武鉄道線から野岩鉄道や会津鉄道へ進むため、事前に会津田島駅までの乗車券切符を購入しておきます。
9:35 鬼怒川温泉駅に到着。
ここで9:37発の『快速AIZUマウントエクスプレス1号』会津若松行きに乗り換えます。
この先にある新藤原駅から先は『野岩鉄道』、会津高原尾瀬口駅から先は『会津鉄道』に進んでいきます。なお、野岩鉄道や会津鉄道ではSuicaやPASMOのIC乗車券が使用できないため、事前に切符を購入しておく必要があります。
鬼怒川温泉駅から乗換なしで目的駅まで行ける快速列車があるのはとても便利です。しかも特急券や指定券の設定がないのでなおさらお財布に優しいです。
野岩鉄道では渓谷沿いを進むため、車窓はほとんどトンネルの中だったり鬱蒼とした森の中を進んでいるような感じです。打って変わって会津鉄道では、長閑な田園風景が広がっています。
ぐんまちゃん:このあたりが会津地方だ。なんか群馬と風景が似ているね。
ムーミン:長閑な風景に癒やされるね。ムーミン谷みたいに長閑だね。
10:42 会津田島駅に到着。
会津田島駅は南会津町の玄関駅です。
すなわち、ここからが会津地方になります。ちなみに、東京や埼玉などから電車で尾瀬へ行くのには、先程の会津高原尾瀬口駅からバスが出ているので、そこからでも行けますが、会津高原尾瀬口から会津鉄道方面の列車が少なく、日中では3時間も列車がない時間帯があるため、尾瀬を散策した後の会津方面へ行くのにはネックなことから、今回は会津田島駅からレンタカーで行くことにします。
ビクティニ:会津田島駅に到着したよ!秋なだけあって多くのハイカーらしきグループもいるようだ。
ぐんまちゃん:このあたりは長閑だね。
ムーミン:天気は最高!まさにハイキング日和だよ!
ヤドキング:すばらしい!尾瀬を散策するには良い天候条件だ。
会津田島駅のすぐ隣には、かつて国鉄会津線で走っていたC11型蒸気機関車が保存されています。
この機関車は、昭和9(1934)年に会津線が開通してから旅客・貨物列車を牽引した機関車で、会津線の他に日中線でも活躍していたようです。こちらに展示されている254号機は、当時の国鉄から“ゆかりの蒸気機関車”として譲り受け、ここで静かに余生を送っています。
ということで、クルマを借りて尾瀬の入り口である『御池』まで進みます。
★会津田島駅から御池駐車場までのルート★
まずは、国道289号を道なりに進んで、突き当りの『山口』交差点T字路で左折し、国道401号および352号をひたすら進んでいけば、尾瀬沼の入り口である『御池駐車場』へたどり着けます。所要時間は概ね60~90分程度で到着できます。
さて、もうじき昼時なので途中にある“道の駅きらら289”にて昼食にします。
ここでは、昼食や買い物の他に日帰り温泉施設もあるので、尾瀬からの帰りに温泉に入るもよし、食事するもよしのまさに尾瀬の拠点にふさわしい道の駅です。
ということで、昼食にそばとわらじカツ丼をいただきます。
4人:いただきます!
ビクティニ:うまい!わらじカツ丼なんて久しぶりに食べた!
ヤドキング:そばも美味しい!
ムーミン:そばの香りと歯ごたえが最高!
ぐんまちゃん:ソースカツ丼が美味しいよ!
南会津方面からクルマで尾瀬へ行くのには、ここ『山口交差点』にて左折して檜枝岐村方面へ進んでいきます。
そこから道なりに進んでいくのですが、最初は田園風景が広がったりしていた風景も、次第に山間部に入っていき、檜枝岐村に入る前でさえもトンネルが多いので、尾瀬への険しさを物語っています。
檜枝岐村に入ると“尾瀬国立公園”に入っていきます。
尾瀬国立公園は、もともと日光国立公園の一部として含まれていましたが、平成19(2007)年には日光国立公園から尾瀬地域を分離し、会津駒ケ岳、田代山、帝釈山などの周辺地域も編入したことで、全国で29番目の国立公園となったのです。また、尾瀬はかつて幾度も開発の危機にさらされてきたものの、多くの人々の努力によって今日も貴重な自然が保たれ、まさしく“自然保護運動の原点”とも言えるでしょう・・・。
檜枝岐村を通り過ぎると徐々に登り坂になり、いろは坂のような山道を進みます。
一部、1車線分しかない幅の箇所も見受けられ、路線バスとすれ違う時は結構緊張しました。登り坂に加えカーブも急なので、かなり慎重に運転します。レンタカーで尾瀬へ行くのなら軽自動車が望ましいかもしれません。
登り坂を登ると尾瀬への案内板が出てくるので、そこを目印に左折します。
御池駐車場に到着しました。
ここでは『御池ロッジ』の宿泊施設や売店があり、更には沼山峠へ行くシャトルバスが出ています。
御池駐車場では1回利用で1,000円です。
ここから沼山峠へ行くには、一般車は入れないのでシャトルバスに乗り換える必要があります。運行間隔は概ね20~30分程度で片道600円です。また、シャトルバスは10月末まで運行されています。始発が6:30、最終が16:30になります。
ぐんまちゃん:さて、ここから沼山峠へ行くのにはシャトルバスに乗り換えです。
ムーミン:ここから山の中へ入っていくよ。
シャトルバスの車窓から尾瀬の山々が見えます。
この時期はあちこちが紅葉に染まりつつありますが、まだ緑になっている所も見受けられます。今年は夏が長いがごとく気温が高い日が続いていたようなので、その影響で紅葉に染まっている所が少ないかもしれませんね。
ビクティニ:おお、山の絶景も見事!まさに山奥って雰囲気だ!
ヤドキング:今夜は山小屋に泊まるそうだから、きっと見事な星空が見えるに違いない・・・。
御池駐車場から15分ほどで沼山峠バス停に到着です。
沼山峠から入るコースは、尾瀬沼へ行くのには一般的なルートになります。他にも七入から沼山峠を経て尾瀬沼へ出るコースもあれば、群馬県側の大清水から一ノ瀬を経て入るコースや富士見下から富士見峠を経て入るコースがありますが、このコースが一番簡単なコースです。
ここには休憩所やトイレが有るので、トイレを済ませてから出発しましょう。また、休憩所もあるので、ここでお弁当を食べてから出発してもOK。
ちなみに帰りのバスは始発が7:00、最終が17:00になります。
ビクティニ:さて、沼山峠まで来た。以前は鳩待峠から尾瀬ヶ原へ行くコースだったけど、今回で尾瀬沼へ行くのは初めてだ。
ヤドキング:なんでもこのコースが尾瀬へ入るのには、一番簡単なコースらしい。
ぐんまちゃん:ここは人が少ないから、こっちの方がいかにも自然の中にいることを実感させられるな・・・。
ムーミン:冒険の予感がしてきた!
ということで、ここ沼山峠から尾瀬沼まで歩いていきます。
沼山峠から尾瀬沼ビジターセンターまでは約3.5kmほどの距離があり、ここからだと概ね約70分位かかります。ここは名ルートの1つで、尾瀬が初めての人にはまさしくうってつけとも言えるコースで、体力的に自信のない人でも一番簡単に楽しめます。また、木道も整備されているので、道に迷うこと無く尾瀬沼にたどり着けます。ビジターセンターまで往復するだけなら、トータルで大体3時間半~5時間程度で、約7kmほどの歩きなので、日帰りでも楽しめます。
今回は星空や朝の尾瀬を見るのが目的なので山小屋に宿泊し、翌日に尾瀬沼を一周してここへ戻ってくるというコースです。
ビクティニ:ここが尾瀬沼への入り口みたい。よし、みんな気をつけて進もう!
ヤドキング:わたしは山の中を歩くのは初めてだが、木道があるのならまず迷わず目的地へたどり着けるだろう・・・。皆の者、出発じゃ!
尾瀬沼までへの道は、尾瀬ヶ原への道と同様に木道が整備されています。
この道を辿っていけば、確実に尾瀬沼へ到達できます。
しかし、一部の木道にはいくつか崩れている箇所が見受けられるので、足元に注意しながら進んでいきます。
ビクティニ:尾瀬へ入るときに山道を進んでいくのは、前の鳩待峠と同じだね。でも、今回は初っ端から登り坂だ。
ヤドキング:尾瀬沼はさっきの沼山峠より標高が低い場所にあるはずだから、この先は徐々に下り坂になるだろう・・・。
尾瀬沼へ向かう途中で“沼山峠展望台”があります。
ここからかすかに尾瀬沼が見えます。
先程のバス停から登って進んできた場所にあるので、ここからは下り坂になっていきます。ここから尾瀬沼が見えるのがまるで近いようにも感じますが、実際は結構距離があります。
ビクティニ:ここで少し休むか。
ヤドキング:見よ、尾瀬沼が見えるではないか!
ムーミン:ほんとだ、湖っぽいのが見えるね。ということは、あれが尾瀬沼なんだね!
ぐんまちゃん:でも、まだまだ道のりがあるから、がんばろうね。
沼山峠からしばらく歩いてかれこれ30分ほど・・・湿原らしき光景が見えてきました!
そう、沼山峠から尾瀬沼へ下ると“大江湿原”は必ず通ります。
大江湿原も尾瀬国立公園の一部です。
尾瀬沼の周辺には湿原が群生しており、とりわけ大江湿原は尾瀬沼の湿原の中では一番大きく、初夏にはニッコウキスゲやワタスゲなどが咲き誇ります。5月から9月上旬までは草原のごとく緑色の花畑、9月下旬以降の秋には黄金色の草紅葉に染まっていきます。
ビクティニ:山道を下ると湿原の風景が広がっている!
ヤドキング:これはたまげたな!まるでラピュタのようだ!
あたり一面に広がる湿原の向こうには大きな沼が見えます。
そう、あの沼こそが尾瀬のシンボルの一つとも言える“尾瀬沼”です!
以前に行った尾瀬ヶ原は群馬県寄りでしたが、こちらの尾瀬沼は福島県側に位置しています。そして、この尾瀬沼は群馬県と福島県の境界線上にある沼なのです。また、写真の中央に写っている“三本カラマツ”も大江湿原と尾瀬沼のシンボルになっており、向かい岸から見ると大江湿原と沼山峠への道の目印にもなったりします。
沼山峠から歩いてかれこれ1時間・・・尾瀬沼の近くまでやってきました。
ここの分岐点では、尾瀬沼から尾瀬ヶ原へ続く道が続いています。ここから尾瀬ヶ原の見晴へ行くのには約7kmものの距離を歩くことになるでしょう。
さきほど沼山峠からここまで歩いてきた道、実は“会津沼田街道”の一部分なのです。
何を隠そう、ここはかつて会津(福島県会津若松市)と上州(群馬県沼田市)を結ぶための重要な交易路であったという、400年の歴史が刻まれた古道なのです。慶長5(1600)年のこと、真田信之が沼田城から会津へ行くための街道として整備したのがその始まりとされています。その後は交易路として多くの通行人が行き交い、会津から米や酒、沼田から塩や油を中心に運ばれていました。また、沼畔には交易小屋が設けられ、明治末期までこうした物品の売買・交換が行われていたといいます。
このように、尾瀬にはただ自然があるだけでなく、こうした歴史的エピソードがあるのも興味深いものです。
ビクティニ:紅葉の尾瀬を見ていると、なんとなく戦場ヶ原に似てる。
ヤドキング:黄金色の草原にぽつんと木が生えている光景は癒やされるから不思議じゃ。
ムーミン:うわあ・・・。ここはとてもきれいな所だね。
ぐんまちゃん:これは富士山より自然感があるかも・・・。
山小屋の集まる尾瀬沼地区までやってきました。
ここでは、ビジターセンターをはじめ、長蔵小屋、尾瀬沼ヒュッテ、休憩施設などが集まります。
長蔵小屋の売店では尾瀬のお土産やおやつなどが買えます。
休憩スペースも設けられているので、コーヒーを飲みながら尾瀬の自然を感じたり、あるいはここでお弁当やおやつを食べることもできます。売店のお土産には、様々な書籍、写真集、キーホルダー、Tシャツなどが売られている他、手作りオルゴールも売られていました。そのオルゴールの曲名はもちろん『はるかな尾瀬』で有名な“夏の思い出”です。
ビクティニ:みんなおつ!今日はもう遅いからここで休もう。
ヤドキング:けっこう歩いたな・・・。
ぐんまちゃん:こんなに歩いたのは久しぶりだな。
ムーミン:風が気持ちいいな・・・。
ということで、長蔵小屋の売店でおやつとコーヒーをいただきました。
地元で有名なとある和菓子屋のお菓子を味わいながら尾瀬の大自然を満喫します。
ビクティニ:持参してきた和菓子を尾瀬で食べるのは至高な気分だね
ヤドキング:同感なり
ムーミン:鳥のさえずりも聞こえてくるね
ぐんまちゃん:ちなみに尾瀬沼ビジターセンターから少し先に行くとぼくの故郷である群馬県は目と鼻の先だよ!
尾瀬沼ビジターセンターにも立ち寄ってみます。
ビジターセンター内には、尾瀬に関する概要や歴史、生態系などについて解説・展示されています。
“尾瀬”は、『日本最大の山地湿原』である“尾瀬ヶ原”と火山活動によって川がせき止められて形成された“尾瀬沼”を中心に、大江湿原などの成因ならびに周囲の浅湖湿原といった小さな湿原が点在しているのが特徴的です。また、それらの湿原が燧ヶ岳や至仏山などの山々に囲まれているのも、尾瀬の成り立ちを思わせる、まさに特徴的な景観を後世に伝えています。
これまで人の影響を受けずに残されてきた尾瀬だからこそ、原始的かつ美しい景観が今日も残る自然環境は、大変貴重なものなのです。
したがって、こうして貴重な自然を未来に残していくためにも、保全を続けるべきであるということです。
なぜ“尾瀬”ができたのかというと、大昔に大雨や雪解けによって洪水が起き、川がせき止められてできたものだと考えられています。大江湿原や尾瀬ヶ原といった湿原帯が群生し、雨水や雪解け水が溜まり尾瀬沼という湖が形成され、更にその周りには泥炭が蓄積されたことで、今の“尾瀬”が誕生しました。そして、今いる“尾瀬沼”ができたのは、約1万年前に火山の燧ケ岳が誕生し、その火山活動による溶岩などによって盆地の東半分がせき止められたことで、現在の“尾瀬沼”が誕生したと考えられています。
尾瀬国立公園のほとんどの地質成分である『泥炭』とは・・・
枯れた植物は地中で微生物に分解され、『土』へ変換されます。ところが、尾瀬では平地と違って標高が高いため、年間平均気温が4℃前後と低めです。その影響でここに生えるヨシやスゲ、ミズゴケなどといった植物の多くが水中にあることから、十分に分解されず積み重なっていったのです。これが『泥炭』の成り立ちであり、尾瀬の湿原を維持するために重要な要素の1つとなっています。そして、泥炭を含んだ湿地を『湿原』といいます。
尾瀬に生息する動植物も貴重なものです。
こうして原始的な自然が残る尾瀬には、他の場所ではかつて生息していた動植物が棲む貴重な自然環境にして貴重な生息地でもあります。
尾瀬を代表する植物といえばミズバショウですが、他にもエゾリンドウやウメバチソウ、タムラソウ、ヒツジグサといった植物が初夏から初秋にかけて開花が見られます。
野鳥も木々や湿原、木道をよく見渡せば見られることがあります。とりわけ『コマドリ』は、檜枝岐村の鳥として指定されており、「ヒンカラカラ」という馬のいななきに似ていることから『駒鳥』と名付けられたことから『日本三鳴鳥』の一種にもなっています。
尾瀬に生息する哺乳類も『オコジョ』が代表格になっています。
一般的には『ホンドオコジョ』がいわゆる尾瀬のオコジョで、国の準絶滅危惧種に指定されています。見た目は可愛らしいように見えて、実は肉食動物の一種でウサギを捕食します。他にもオコジョに似た生き物である『ホンドテン』や『ニホンジカ』や『ツキノワグマ』といった生き物が生息しています。
中でも『ニホンジカ』や『ニホンカモシカ』といった野生動物は、どんな植物でも食べると言います。ミズバショウは花が咲き終わると実がなるので、ツキノワグマはそれを餌にしています。ところが、鹿系の生き物はミズバショウの葉や茎でさえも食べてしまうのです。しかも、ミズバショウの葉や茎には毒が含まれているので、鹿がいかにタフな生き物であるかが感じ取れます。
他にも様々な昆虫や両生類、魚類も生息しています。
このように尾瀬は自然環境だけでなく、ここに生息する動植物や生態系が貴重なものであることから、『国際的な重要な湿地』として“ラムサール条約湿地”に登録されています。いわば釧路湿原の山地版といったところでしょうか・・・。
日本では馴染み深い生き物のひとつであるホンドギツネも尾瀬の生き物であり、準絶滅危惧種に指定されています。
かつては日本昔話にも出てくるほど、里山でも見られましたが、最近では人に懐かず人目につかない山奥に生息するため、謎の多い生き物です。そのため、多くの迷信や物語が生まれました。また、見た目も違うが同じ環境に棲むためライバル関係にもなったりしています。
尾瀬は、ツキノワグマの生息地にもなっています。
ツキノワグマは日本を代表する哺乳類クマ科を代表する一種で、本州や四国の山地に生息しています。これも絶滅危惧種に指定されている貴重な生き物です。
尾瀬に生息するツキノワグマは、先述の通り主にミズバショウといった植物や木の実などを餌にして生息しています。春になると冬眠から覚め、山菜やブナの実などを餌にします。夏は食べるものが少ないため、植物系の他に昆虫類や果実類、更にはミズバショウも食べます。秋になると冬眠に備えてタンパク質や脂質、炭水化物を多く含んだドングリなどの木の実をたくさん食べます。当然、冬には活動をせず冬眠をします。これがツキノワグマが活動する1年間のルーティンです。
しかし、尾瀬では人がツキノワグマに襲われた事例があります。最近では、2023年の5月にツキノワグマの襲撃による人身事故が発生しています。
このような事故に合わないようにするには、『熊に遭遇しないようにすること』です。笛や鈴を鳴らして自分の存在を知らせることで、まず熊が近づいたりすることはありません。もし、尾瀬散策中に熊を見かけても騒いだり大声を出したりして刺激を与えないよう熊に視線を向けながら後退りするなりしましょう。
尾瀬の池塘や湿原の水辺には、様々な両生類や魚類が生息しています。
池塘や小川、湿原によく目を凝らせば、アズマヒキガエルやクロサンショウウオ、イワナ、アブラハヤ、ギンブナなど、尾瀬の水辺に生息する生き物たちを目にすることができるでしょう。
これは尾瀬国立公園の周辺情報を示すマップです。
尾瀬国立公園は、約3万7千ヘクタールに及ぶ面積を持ち、福島県・群馬県・新潟県・栃木県の4県の境界線にまたがっています。尾瀬ヶ原や尾瀬沼をはじめ、燧ヶ岳や至仏山、会津駒ケ岳・帝釈山・田代山などの山頂部も湿地帯ということもあり、いずれも国の特別天然記念物に指定されています。
その国立公園の周辺には有名な観光地である日光をはじめ、谷川岳のあるみなかみ町、上州武尊山、奥只見湖があります。また、冬になると尾瀬は閉山となりますが、周辺の片品村や水上高原ではスキーといったウィンタースポーツができます。
尾瀬国立公園が誕生したのは平成19(2007)年8月のことで、かつては“日光国立公園”の一部だったのです。
日光国立公園が誕生したのは昭和9(1934)年であり、“尾瀬”の概念は尾瀬ヶ原および尾瀬沼だけで定め、それらも日光国立公園の中にその尾瀬地域が含まれていたということになります。しかし、平成19年7月には、当時の中央環境審議会より『尾瀬国立公園指定』の答申が出され、尾瀬周辺の山岳である会津駒ケ岳や田代山などの周辺地域も含めて同年8月30日には正式に“尾瀬国立公園”として新設されました。これは昭和62(1987)年に指定された釧路湿原国立公園以来、つまり20年ぶりの新指定であり、日本の国立公園としては29番目ということになります。
尾瀬国立公園には尾瀬沼や尾瀬ヶ原をはじめ、周囲の山々、滝、峠、湿原などの自然環境が整っています。
まず、尾瀬沼から紹介していくと・・・。
尾瀬沼は約35年前から始まった燧ヶ岳の噴火によって沼尻川がせき止められてできた湖です。周囲約9kmならびに標高1660メートルあります。そして約2~3時間で湖畔を一周できるので、尾瀬ハイキングにはぴったりとも言えるでしょう。
燧ヶ岳は、尾瀬を代表する火山です。
日本最北端の最高峰で、この山を最後にこれより北にはそれ以上に高い山はありません。標高は2356メートルあり、山頂付近からはブナの原生林が広がる山麓付近では貴重な生態系が育まれています。
至仏山も尾瀬を代表する、燧ヶ岳に次いで尾瀬国立公園で2番目に高い山です。
こちらの山体は蛇紋岩からなり、登山道沿いにはカトウハコベ、ホソバヒナウスユキソウ、オゼソウなどの希少な蛇紋岩植物が見られ、山頂から尾瀬ヶ原が見下ろせます。標高は2228メートルあります。
尾瀬ヶ原も、尾瀬沼と並んで有名な尾瀬スポットです。
尾瀬ヶ原は、山地湿原としては日本最大級で、湿原の中の拠水林、池塘など湿原ならではの特徴が景観があります。とりわけミズバショウやニッコウキスゲなどの湿地帯植物が群生し、秋には尾瀬沼と同様に草紅葉が見れます。
会津駒ヶ岳は尾瀬沼からかなり北に離れた場所にありますが、その山頂には尾瀬沼と同様の湿原が広がっています。
山頂の湿原には7月になると雪解けが始まるとともに『駒ノ大池』が現れ、その周辺にはハクサンコザクラが群生します。また中門岳へ続くなだらかな稜線沿いにも池塘が点在し、山並みの風景と湿原の組み合わせに登山者を魅了します。会津駒ヶ岳は標高2132メートルですが、登山レベルとしては初心者向けです。
田代山も会津駒ヶ岳と同様、平らな山頂に『田代山湿原』という湿原が広がっています。
その地形には様々な高山植物の群生とともに独特な景観が生み出されていると言います。
三条の滝は、尾瀬の湧き水がすべて集まるいわば尾瀬の源流部です。
落差約80メートルあり、一気に落ちる轟音に迫力満点です!華厳の滝よりすごいかもしれませんね。
大江湿原は、さきほど沼山峠から下るときに通ってきた、周囲約3千500メートルに及ぶ湿原です。
中央に流れる大江川は尾瀬沼に注がれています。7月中旬~下旬にはニッコウキスゲが湿原一帯に咲き誇り、まさに理想郷のような風景が広がります。また、言い伝えによると湿原内には戊辰戦争の時に作られた土塁がどこかに残されていると言います。
尾瀬沼の東側にある湖畔では、ビジターセンターをはじめ山小屋や売店、休憩施設などが整っています。
このあたりは尾瀬の山への登山の拠点にもなったりするため、ここの山小屋は登山者にとっては御用達とも言えるでしょう。
今回、沼山峠から訪れた『尾瀬沼コース』は日帰りでも楽しめますが、実は山小屋に泊まらないとできない体験がここにはあるのです。だから、今回の旅では『ある体験』をするためにあえて尾瀬の山小屋に宿泊することにしたのです。
ということで、今回は『尾瀬沼ヒュッテ』という山小屋に泊まることにしました。
ここでは、個室がある他、一人でも泊まれるカプセル部屋も用意されています。今回は個室が空いていたのでそれを予約しました。他にもコーヒーやお茶がセルフで用意され、売店もあります。そしてテラスも設けられ、星空観察ならびに撮影にはまさにうってつけとも言えるでしょう。またお風呂や洗面所・トイレも完備されているので、安心して利用できます。ちなみに1名利用の1泊2食で12,000円ですが、昼食のお弁当も付けると13,000円なので、実質1泊3食となりましたw
ビクティニ:ここがぼくたちの泊まる山小屋だ。大自然の中で一晩過ごすのがまさに夢だったんだ!
ヤドキング:なるほど、たしかに宿泊付きのハイキングってわけだ
ムーミン:今夜は星空が見れそうかも
ぐんまちゃん:絶対見れるよ!夜になったらみんなで星空を見よう!
山小屋のある岸辺には燧ヶ岳と尾瀬沼の景観が撮影できる展望台があります。
ここで燧ヶ岳と尾瀬沼をバックに記念撮影をしました。
この時期は秋つまり紅葉の時期なので、湿原の草紅葉や森の紅葉、そして燧ヶ岳と尾瀬沼の景観こそ、まさに『秋の尾瀬』です!
ビクティニ:これは素晴らしい風景!じゃあみんなで記念撮影だ!
ヤドキング:見事な景観なり!わたしにはふさわしいハイキングである!
ぐんまちゃん:本当に来た甲斐があった!
ムーミン:これは素敵な光景だね!
尾瀬に泊まることで、『ある体験』ができるのです。
それは、大自然が残る尾瀬で『夕日』あるいは『夕暮れ』が見れるのです。
とりわけ天気が安定しやすい秋こそ、尾瀬の夕日や星空を撮影したり眺めたりするのにはまさにオススメの季節ですね。尾瀬沼を照らす夕日に山や木々のシルエット。そして、山のシルエットに沈む夕日の光もまた美しい!
ビクティニ:まさに芸術の秋だ!本当に尾瀬は素晴らしい!まさに本物の自然だよ!
ヤドキング:夕暮れの尾瀬もまた美しいものじゃ
ぐんまちゃん:尾瀬に泊まらないとこの風景は見れないよね!
ムーミン:ムーミン谷の湖よりきれいかも!ぼく感動しちゃった!
さて、夕食の時間なので山小屋に戻って食事にします。
夕食には尾瀬らしく舞茸の炊き込みごはんや岩魚の塩焼き、きのこの味噌汁などが出ました。
ビクティニ:いただきます!・・・美味しい!特に舞茸の炊き込み飯が最高!
ヤドキング:うまい!山の幸も悪くないのう
ぐんまちゃん:やっぱり尾瀬っていいよね!
ムーミン:でも炊き込みごはんはなくなったら終わりだから早いもの勝ちだよ
夜の尾瀬では満天な星空が見られます。
尾瀬沼では人工物や明かりがほとんどない環境なので、星空が綺麗に見えます。
この日は天気が良かったので、天の川が見えました。また、澄んだ星空を背景に映る燧ヶ岳のシルエットがとても素晴らしい光景です。まさに尾瀬に泊まらないとできない体験です。あまりに雄大な星空の光景に感動しました(´°̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
まるで『銀河鉄道の夜』に出てくるワンシーンのようです。
ビクティニ:きれいな星空だ・・・。あまりの感動的な光景に泣きそう・・・
ヤドキング:ああ・・・なんという神秘的な光景なのだろう・・・
ムーミン:これはすばらしい星空だね!本当に感動しちゃった・・・。あ!流れ星だ!ムーミン谷がいつまでも平和でありますように・・・
ぐんまちゃん:さそり座はどれかな?あ、あれがさそり座だね!
後編はこちら
秋の尾瀬沼を2日間ハイキング 後篇 - ビクティニと昔ロマンのブログ
尾瀬と銀河鉄道の旅PART1 終わり
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