皆さんこんにちは。今回は、正月の秋芳洞を探検してきた内容をお話します。
昨日宿泊した湯田温泉から路線バスで秋芳洞へ向かいます。
秋芳洞バスセンターに到着しました。ここが『秋芳洞』や『秋吉台』への玄関口となります。
バスセンターからすぐの場所に『秋吉台観光交流センター』があります。大きな荷物を預けたり、『秋芳洞』や『秋吉台』についての解説あるいは周辺の観光情報を知ることができます。また、レンタサイクルやクロスバイクのレンタルなどを利用して、秋吉台までサイクリングすることもできます。秋芳洞への入り口は、ここから徒歩5分くらいで行けます。
ビクティニ:とりあえず、秋芳洞の入り口まで歩いて行こう。
ミュウ:でも、人があまりいないみたい・・・。
秋芳洞の入り口までやってきました。
お正月ということもあり、丁寧に門松も飾られています。しかし、朝早いからか、例年と比べて観光に来る人は少ないようです。でも、スタッフの方々から快く挨拶してくれました。秋芳洞の入洞料1,200円を支払って、いざ洞内へ・・・。
ビクティニ:朝早く来たからか、お店はやってないみたい・・・。それにしても静かだ・・・。
ミュウ:もしかして開店前なんじゃない?
作者:お正月なら、もっと多くの観光客で賑わうはずなのに、ほとんどいない・・・。でも、それだけいない分、ゆっくり観光できそうw
山口県を代表する観光地『秋芳洞』は秋吉台国定公園の地下100メートルに大鍾乳洞として『特別天然記念物』に指定されています。
『秋芳洞』は、石灰岩が地下水や雨水によって浸蝕あるいは溶解して生じた洞窟の一つで、国内屈指の国内最大級の鍾乳洞です。約3億年前に誕生したサンゴ礁が地殻変動によって陸地化、さらにサンゴ礁が石灰化してから長いこと月日が流れ、地下水によって溶け出して出来たものとされています。
★秋芳洞の様子★
大きな洞穴の先へ続く通路の奥が『秋芳洞』です。
洞窟の入口までやってくると、まるで地中に引き込まれるような感覚になるほど、洞窟ならではインパクトを感じさせます。
ここまで歩く途中の川は、冬の時期だからか干上がっているようです。しかし、洞窟入り口の滝壺には池のように水が溜まっており、おまけにコバルトブルーの色を醸し出していました。冬は滝が流れておらず、まるで時が止まったかのようです。鍾乳洞入り口夏なら涼しく感じるのでしょうが、冬なので洞窟の入り口に近づくほど涼しいを通り越して、寒く感じてしまいます。
洞窟に入ると、入り口の観音様がお出迎えです。
秋芳洞の洞窟内の様子です。
秋芳洞は国内最大級の鍾乳洞だけあってとても広々とした空間です。
夏だったら、洞窟内に流れる水が勢いよく流れる様子が見れますが、冬だと水量が少ないようです。通路の反対岸にある岩肌下部の茶色い部分は五〇年前の水位による浸食の跡と思われます。なんでも昔は小舟を使って鍾乳洞見学をしていたんだとか。
ビクティニ:久しぶりの鍾乳洞探検だ♪ でも、相変わらずガランとしているし、川の水量が寂しい位に少ない・・・。やはり冬だからなのかな・・・?
ミュウ:ここもやっぱり人少ないね・・・。
作者:でも人が少ない分、ゆっくり観れるからいいじゃないですか(笑)
ビクティニ:それもそうだな・・・。
鍾乳洞の入り口を見上げてみると、天井に少し青みが掛かっているのがお分かりいただけるでしょうか・・・?
これは『青天井』といい、天井の高さが30メートル、幅が50メートルほど有するとても大きい空間です。鍾乳洞の入り口からすぐ入った空間の天井が、うっすら青く見えるのは、入り口から太陽の光が差し込むと、洞内の川に反射して天井が青くなることから、『青天井』と名付けられたといわれています。ちなみに、天井から洞窟内の様子を眺められる『冒険コース』もあります。高所が苦手でなければ、まさに探検家の気分で洞窟内を探検でき、高い場所から鍾乳洞を見下ろす事ができます。ただ、今回はコースの一部が崩壊しているようなのでお休みのようです。
入り口からしばらく歩いていくと、左手には何段ものの平たい鍾乳石が重なっている光景が広がる『百枚皿』が見えます。
いわゆる石灰華段丘で、秋芳洞を代表するシンボル的なスポットの1つです。
段丘から湧き出た地下水が波紋状に広がり、固まったことで出来たもので、それがあたかもたくさんの皿を重ねたような姿に見えることから、『百枚皿』という名所として親しまれています。なんでも五百以上はあるということで、このような形状をした鍾乳石としては世界的に見ても非常に珍しいといわれています。なぜこのように何百ものの平たい岩石が重なったように出来たというと、水の波紋の端の泡立つ部分に石灰分が沈積物となり、その波紋の縁の部分だけが、長い歳月をかけて盛り上がり皿状になったといわれています。これぞ、3億年ものの歴史を経て出来た洞窟ならではの光景ですね。まさに太古の洞窟でしか味わえない芸術的な光景です。
ビクティニ:秋芳洞の特徴とも言える『百枚皿』・・・いつ見ても不思議な光景だ・・・。これが約3億年前に出来たものだと考えれば・・・。
ミュウ:まさに太古の洞窟って感じだね・・・。
国内最大級の鍾乳洞である『秋芳洞』には、石筍や石柱など、すべて石灰成分によって、様々な形状を生み出すことで、あたかも芸術的な光景を見せてくれます。
例えば、広庭の洞内富士は、天井から降る積もる石灰成分を含んだ水滴が垂れ落ち、石灰分が下から徐々に沈積して出来上がったものです。そして、これが大きな山のような形状になったことで、洞窟の中にそびえ立つ富士山のように見えることから、『洞内富士』という名前になったのです。なんでも、ここまで積み上がるのに数万年かけてできたのだとか。
さらに奥へ進んでいくと、洞窟の中に田んぼのような光景が広がります。
『千町田』といい、暗闇の洞窟にあたり一面広がっています。先ほどの『百枚皿』と同様に石灰華段丘ですが、盛り上がった形状ではなく、あたかも田んぼのように広がっています。また、田んぼの沼には身体が白っぽい目が退化したヨコエビが見られることもあります。
洞窟の天井を見上げると、天井からつららのように垂れ下がる鍾乳石が至るところで見られます。
これは『傘づくし』といい、天井から無数のつららが垂れ下がる形状が昔の傘屋の天井を思わせることからついたのだとか。
これらのつららや石筍、石柱などは、非常に長い歳月をかけて出来上がったもので、こちらも鍾乳洞ならではの光景が見られます。また、このあたりは運が良ければ、コウモリが見られることもあります。この鍾乳洞にはキクガシラコウモリ、モモジロコウモリ、テングコウモリ、ユビナガコウモリなど6種のコウモリが生息している他、ガロアムシ、オオアカザトウムシ、アキヨシチビゴミムシ、アキヨシアゴザトウムシ、ホラアナナガコムシなどの珍しい生物も生息しています。これらの生き物は、いずれも洞窟内に棲み着いているため、目が退化したような感じになっています。
秋芳洞に点在する石柱や石筍の中には天井と地面がくっついてできた『大黒柱』も存在しています。こちらも長い歳月をかけて出来たものですが、天井と地面の高さが低いため、このようにつららが徐々に下の方へ成形され、やがて地面にくっついてこのような形状になったようです。
秋芳洞からエレベーターで秋吉台へ出られます。
こんな地中深い場所によくエレベーターが出来たものだと実感させられます。まるで昔の修学旅行で日光の華厳の滝を見に行ったときのエレベーターを彷彿させます。
山口県の自然を代表するカルスト台地『秋吉台』にやってきました。
ここは美祢市の中・東部にわたって広がる国内最大級のカルスト台地で、昭和30(1955)年に『秋吉台国定公園』、そして昭和39(1964)年には『特別天然記念物』に指定されています。
あたり一面、カルスト台地が広がる『秋吉台』には多くの石灰石が含まれ、今から約3億5千万年前に南方の海にて『サンゴ礁』として誕生しました。さらに日本列島として成形されていくうちに長い月日が流れ、そのサンゴ礁は石灰岩と化していきます。これらの石灰岩の厚みは5百~1千メートル、長きにわたり雨水が流れることで、石灰岩が溶けて、現在のようにカルスト台地が出来上がったのです。人類より遥かに深い歴史を持つ『秋吉台』の景観は、まさに太古のロマンが生み出した芸術的なものです。
ビクティニ:このカルスト台地の地下に洞窟があるということを考えれば、たくさんの石灰岩が地中深い場所に沈んでいくんだなということを実感させられる・・・。
ミュウ:そして、秋芳洞の岩石が石灰岩でできていて、その石灰岩がサンゴ礁だったと考えると、秋芳洞も秋吉台もまるでタイムスリップしたような感じだね。
秋吉台のようにカルスト台地が出来るのは、日本列島周辺のプレートの動きによって出来たものといわれています。
かつて海中にあったサンゴ礁も、そのプレートの動きによって、長い歳月をかけて現在の日本列島になるであろう大陸プレートに向かって徐々に移動します。そしてそのサンゴ礁が石灰岩となり、それが集まって『カルスト台地』として形成されていき、現在のように『秋吉台』や『秋芳洞』が生まれるのです。このような現象を『付加体(ふかたい)』といいます。こうして現在の日本列島があるのは、この現象があってこそであり、この『秋吉台』もその証でもあるのです。
カルスト台地である『秋吉台』は、石灰岩でできています。
カルスト台地は、石灰岩が雨水や地下水によって溶かされて出来た地形のことで、ここから約100~200メートル地下にある『秋芳洞』が鍾乳洞として整形されているのは、カルスト台地の地表には『ドリーネ』と言われる鉢状の窪地によって発達されます。石灰分を含んだ地下水や雨水がそこを伝って、秋芳洞の石筍や石柱、つららなどが出来ると考えられています。
秋芳洞で一番の美観を持つ『黄金柱』も、この鍾乳洞のシンボルの1つです。
高さ15メートル、幅4メートルを有する巨大な石灰華柱です。
この『黄金柱』も他の石柱や石筍、つららなどと同じようにカルスト台地から流れた石灰分を含んだ地下水によってできたものですが、この黄金柱は岩壁を伝い、その部分に付着した石灰分が何万年ものの長い歳月をかけて、このように巨大な柱として成形されたのです。幾度と重なったレースのカーテンのような容姿はまさに太古の自然が生み出した芸術的な光景です。よく見ると石柱表面には細かいヒダ模様が刻まれています。他にも、この石柱の根本には『切れ目』があります。これは床が下がったことで出来たのだそうです。おそらく地殻変動の影響でしょうか?
ビクティニ:大きな石柱だね・・・。まるで大きな水柱が落ちているかのよう・・・。
ミュウ:それに、なんかキレイだね。まるで本当に『黄金柱』みたい!
黄金柱を過ぎると、『黒谷支洞(くろやしどう)』に入ります。
先ほど歩いてきた秋芳洞の本洞はとても広い空間でしたが、それとは裏腹に、どちらかというと通路のような洞窟という『黒谷支洞』の岩壁には細かいつららの滝のような光景が見られます。例えば、この『石灰華の滝』も先ほどの『百枚皿』や『千町田』、『黄金柱』などと同様、カルスト台地から流れた地下水によってできたものですが、こちらの『黒谷支洞』は比較的狭い空間のため、このように壁伝いに滴れています。これはいわゆる『フローストーン』という現象のことで、岩肌の表面を流れるようにして覆われた炭酸カルシウムの結晶です。
『黒谷支洞』では、普通の鍾乳石とは違ったユニークな形状をした鍾乳石が見られます。
この『巌窟王』といわれる石筍は普通の石筍とは違った形状をしています。まるで、洞窟の中に現れた魔王のような形相をしています。太古の自然が生み出した芸術は本当に不思議なものです。
黒谷支洞で『フローストーン』になっている箇所がもう一つあります。『クラゲの滝のぼり』です。
こちらも先ほどの『石灰華の滝』と同じように岩壁伝いに地下水が流れ出したことで出来たものですが、こちらの岩壁をよく見るとあたかもたくさんのクラゲが滝を登っていく姿に見えることから、その名前がついたといわれています。こうして見ると、まるで秋芳洞は『洞窟の美術館』を思わせます。
秋芳洞の鍾乳石は、石柱や石筍、あるいはつららなどというように芸術的な形状が織りなされていますが、このように洞穴のような形状をしたものもあります。
『龍の抜穴』もその1つで、こちらは天井が高く、あたかもその穴の奥から龍が飛び出してきそうな大きさから、その名前がついたのだそう。まさに『洞窟の美術館』ですね!
黒谷支洞の最後のエリアでは大きな空間が広がっています。
『五月雨御殿』といい、その名の通り、この空間だけ地下水が常に垂れ落ちている場所です。写真の二枚目をご覧いただくととお分かりの通り、岩壁には石柱が何本か出来ており、あるいは今にも石筍とつららがくっつきそうな形状になっている箇所が確認できるかと思います。このように、この空間だけ地下水が五月雨のように垂れていることから、その名前がついたと言われています。また、この場所だけ植物らしきものが生えているのも確認できます。なるほど、秋芳洞ならではの太古の自然というのは実に興味深いものです。
黒谷口の近くまでやってくると、通路の中央に大きな石筍が立っています。
『マリア観音』です。他の石筍と比べると、いささかなめらかで、見る角度によっては全体的に子供のキリストを抱いたマリア像のように見えることから、その名前がついたのだそう。
『マリア観音』過ぎると『黒谷口』です。ここが秋芳洞の最奥部になります。
黒谷口側には『3億年前のタイムトンネル』が出口まで続いています。壁のイラストには洞窟から出口まで進んでいくと現代まで進んでいくという感じになっています。この先は黒谷口になりますが、そこまで行ってから少し休憩して引き返しました。
秋芳洞から見た出口です。
洞窟から見た出口の光がまるで3億年前の異次元な世界から出るような気分です。
演歌にも歌われるほど秋芳洞に愛着があります。
『秋芳洞愛歌』という歌は星野哲郎が作詞で、入山アキ子が歌っています。この歌には秋芳洞から湧き出た地下水に恩恵を感じさせられます。
昼食は秋芳洞の通りにある食堂でいただきました。
食事ができる他、お土産も購入できます。お土産には鍾乳石が売られている他、夏みかんやふぐ関係などのあらゆる食品、さらに萩焼まで売られています。
ビクティニ:秋芳洞を散策した後のご飯は美味しい!
ミュウ:ちょうどお腹すいていたんだ。秋芳洞結構広かった。
にょろもう:洞窟の中は涼しくて気持ちよかった。
『正月旅行 厳冬の山陰旅 正月の秋芳洞を探検』をお伝えしました。
★おまけ★
普通列車でのんびり瀬戸内海の車窓を眺めながら広島方面へ向かうのでありました・・・。
ビクティニ:夕焼けの海の車窓は綺麗だね。
ミュウ:山陰では天気に恵まれなかったけれど、山陽エリアの方は天気が回復してよかったね。
夕食には広島名物のお好み焼きをいただきました。
ビクティニ:お好み焼きうまい!
ミュウ:牡蠣も美味しいよ!
にょろもう:そばも入っていて歯ごたえがいい!
夕食の後、早朝に厳島神社参拝のため、宮島の旅館に泊まります。
ビクティニ:夜のフェリーで宮島へ行くのは初めて・・・。
ミュウ:ちょっと寒いかも・・・。
宮島に到着したのは夜のことで、ここの旅館で宿泊してから、早朝の厳島神社で参拝します。
ビクティニ:こんな夜に宮島まで行くのはある意味貴重な経験かも・・・。
ミュウ:さすがに人も少ないよね・・・。
この後、宮島の旅館にて一夜明かすのでありました・・・・。