皆さん、こんにちは。
今年の夏休みは東京五輪開催で盛り上がっているようです。『コンパクトなオリンピックにする』と言いつつも、結局派手にやってしまいました。また、例の病気が蔓延している最中という状況下ということもあり、複雑な気持ちで観戦していた方々が多いかと存じます。それは私も同じ心境で観戦していました。
さて、今回は京都のとある体験工房で『友禅染(ゆうぜんぞめ)』を体験してきました。
『友禅染』とは、主に着物や帯の染め文様における代表的な技法の一つで、布の上に絵描くように多彩な色で表現するための染色方法のことを言います。
京都の友禅染めは、一般的に『京友禅』と言われ、日本三大友禅の中でも歴史が古いことから、染めの技法としては豪華絢爛で、まさに文様染めの伝統工芸としては代表的なものになっています。しかも、国内だけでなく世界的にも有名になりました。
他にも『加賀友禅』や『東京友禅』、『十日町友禅』などがあり、いずれも基本的な友禅技法は共通ですが、地域によっては雰囲気や製作工程が異なります。
友禅染の特徴としては、『糸目糊(いとめのり)』を用いて模様の輪郭をなぞり、隣り合う色が混色しないように防染し、絵画のような模様を染め描くものです。
この体験では、自分の好きな絵枠を選び、それを用いて白いハンカチの隅に模様を染め描きます。この時、私はあじさい模様の柄を選択しました。
まずは絵枠をハンカチの隅に固定し、そこに糸目糊を塗ります。糸目糊はベラの先端に付け、絵枠に塗っていきます。すると、穴の空いている箇所だけ糊が付着するので、塗り終わったらしばらく乾かします。乾かした後、染料を塗りたい箇所に当て、そこを指爪で押し付けます。すると、写真のように色が付きます。
このように紙の絵枠を用いて移し染めるものは『型友禅(かたゆうぜん)』と呼びます。
他にも、素手で模様雨を施した『手描き友禅』があり、『豆描き友禅』や『無線友禅』など糸目を使わない染め方もあるなど、種類は様々です。
このように鮮やかに模様ができました。
完成した模様を見ると、まさに和の模様そのものですね。
このように『友禅染』が日本の伝統工芸の一つになったかというと、江戸時代の元禄年のこと、京都の扇面絵師である宮崎友禅斎によって考案されたことが発端だといわれています。『友禅染』という名称もその創始者の名前から来ています。
友禅染に使われる糸目糊も友禅斎が発明したもので、もち米や糠、塩を混ぜて『澱粉糊(でんぷんのり)』として使われるようになりました。このように澱粉糊を用いることで、絵画的な文様を自由に染め描く技法が発達するようになったのです。
そして明治に入ると化学染料がヨーロッパより伝わり、これまでの澱粉糊からゴムのりが用いられるようになり、今回の体験のように型友禅が流行するなど、友禅染は世界的に注目を集めています。こうして、友禅染は現代の着物でも見られ、今でもその文様染めの文化は引き継がれているのです。
以上、『京都で友禅染を体験!』をお送りいたしました。